不妊治療

Infertility

はじめに

子供を欲しいと思った御夫婦が、1年たっても妊娠をしないときは不妊症の可能性がありますので早めの検査・治療をお勧めいたします。

妊娠をご希望されてから1年以内に約90%近くが妊娠されますので、約10~15%が不妊となります。女性側の年齢別にみると20歳代前半までは5%以下が不妊ですが、30歳代後半になると30%、40歳以降では60%以上が不妊になります。

女性の年齢が高くなるにつれ、妊娠率が低下していくことがわかります。おもな原因は女性の年齢の上昇のともなう卵子数の減少と、卵子の質の低下、染色体異常の卵子の増加が考えられています。

原因

1男性因子30%

主な原因として造精機能障害(精子がうまく生産されない)、精索静脈瘤(精巣の血流がよくない)、射精障害、勃起障害があります。

2女性因子70%

ⅰ)卵巣因子20%
多嚢胞性卵巣症候群、高プロラクチン血症、早発卵巣不全

ⅱ)卵管因子20%
クラミジア性卵管炎などで卵管の通過性が悪くなったり、子宮内膜症によって卵管周囲に癒着を認めたりすることが原因になります。また子宮筋腫や子宮内膜ポリープが卵管へ影響を及ぼすこともあります。

ⅲ)子宮因子20%
子宮筋腫や子宮内膜ポリープが受精卵の子宮内膜への着床障害の原因になる可能性があります。

ⅳ)免疫因子など10%
抗精子抗体の存在が精子の運動性や受精に影響を及ぼします。

検査

各検査の説明をしながら、納得していただき順次すすめてゆきますのでご安心ください。
初診でいらした方は、過去の不妊治療歴やご質問などをお聞きするため、お時間に余裕をもってお越しください。検査や治療方針などを円滑にすすめるために初診時はご夫婦で受診をしていただきたいと思います。検査はおもに自費になりますが相談をしながら検査をすすめていきます。

1ご主人の検査内容

精液検査と感染症などの採血検査をおこないます。精液検査は予約制になりますので受付で御予約をする際に、(精液を入れる)容器を受け取ってください。また前医で同様の検査をおこなった方はできれば検査結果をお持ちください。

2奥様の検査内容

ホルモン等の採血と経膣超音波検査が主なものになります。

基礎体温の測定
婦人科体温計(当クリニックでも販売)を使って連日測定することが基本になります。目が覚めたら直ぐに口内で測定し、紙の基礎体温表(当クリニックにあります)に記載して線で結んでください。月経期間、体調、治療や検査内容など気が付いたことを余白に書いておくと便利です。体温表の見方は外来でご説明をいたします。

子宮がん検査
1年以内にがん検診をおこなった方は、検査結果をお持ちください。

クラミジア抗原検査
性器クラミジア・トラコマティス感染は卵管性不妊症や卵管妊娠の原因といわれております。

経膣超音波検査
子宮筋腫や卵巣嚢腫、子宮内膜症などの婦人科の病気を診たり、卵胞(卵子が入っている袋)の大きさから排卵を予測したりします。また子宮内膜の状態を評価いたします。必要に応じて骨盤MRI検査をおこないます(同医療モール内の画像センターへ優先的にご紹介をいたします)。

超音波子宮卵管通水法
卵管の疎通性を評価する検査です。放射線被ばくがなく、外来でおこなえるため卵管因子不妊症の検査としての有用性が評価されております。

女性ホルモン検査
卵胞刺激ホルモン、黄体化ホルモン、プロラクチン、エストラジオールのホルモン値を測定します。ホルモン産生の目安になります。

男性ホルモン検査
テストステロンや遊離テストステロン、アンドロステンジオン値を測定は多嚢胞性卵巣症候群の診断に有用です。

抗ミュラー管ホルモン
卵巣予備能を測定します。

抗精子抗体
精子に対する抗体の有無を調べます。

血液・生化学検査など
貧血や肝機能、血糖値、インスリン値、尿検査などを調べます。

甲状腺ホルモン
甲状腺刺激ホルモンなどを測定します。潜在性甲状腺機能低下症は流産、早産、胎児発育遅延、児の知能発達遅滞と関連するといわれております。

風疹抗体検査
風疹の抗体のない方は、治療に入る前に風疹ワクチンの接種をすすめております。風疹ワクチンは予約制になります。

治療

実施にあたってはご説明のもと、ご納得をしていただき治療にすすみます。
心配なことや不安なこと、聞きたいことはどうぞお気軽にご質問してください。

タイミング療法
経膣超音波(卵巣や子宮をみるもの)や基礎体温表、尿検査、ホルモン採血をおこなって、排卵する時期を予測して性交をとるように指導をいたします。周期あたりの妊娠率は約3%です。

人工授精
主に男性因子の方やタイミング療法を一定期間おこなっても妊娠にいたらない場合は人工授精をお勧めいたします。
最初の3~4周期目に妊娠する方が多く、周期あたりの妊娠率は約5%です。

生殖補助医療(ART)
当院は『千葉県特定不妊治療助成事業指定医療機関』です。
生殖補助医療(ART)とは、体外受精(IVF)や顕微授精(ICSI)のことをいいます。

卵管性不妊、男性不妊、免疫性不妊、子宮内膜症、原因不明不妊の方が対象になります。中でも男性不妊や受精障害など顕微鏡を使用して授精させる以外の治療では妊娠の可能性がないか、極めて低い場合は顕微授精をおこないます。本邦における成績は新鮮胚による移植あたりの妊娠率は約20%です。一方で凍結融解胚による移植あたりの妊娠率は約30%になります。具体的な流れは次のようになります。詳細については当クリニックでイラストを用いながらご説明をいたしますのでご安心ください。

a)GnRHアンタゴニスト法、クロミフェン法等の卵巣刺激法によって複数の卵胞を発育させ、静脈麻酔を用いて採卵をします。

b)経膣超音波を用いて針を卵胞に刺して卵子を回収します。

c)射出した精子を洗浄、調整をして卵子に添加します(媒精)。媒精の後に顕微鏡下で授精の確認をおこないます。

d)受精してから胚盤胞へ発生した胚の中から形態良好な胚を選んで移植をします。ただし卵巣過剰刺激症候群の可能性や排卵誘発剤による子宮内膜への影響が懸念される場合は移植せずに全ての胚を凍結保存します。どちらの場合でも分割期や胚盤胞を凍結することになります。凍結胚は超急速ガラス化法によって液体窒素で保存をします。そして次回の月経がきてから移植の日程をたてることになります。当クリニックでは日本産科婦人科学会「生殖補助医療における多胎妊娠防止に関する見解」および「ヒト胚および卵子の凍結保存と移植に関する見解」に基づき、1個の胚移植が原則としております。35歳以上の女性や2回以上続けて妊娠不成立であった場合は2個の胚移植もおこなっております。凍結胚の移植可能な時期は卵子を採取した女性の生殖年齢を超えず、また御夫婦関係の継続を確認してから実施をしております。

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